暮色涼風

ローラーとバイオリンの暮色涼風のレビュー・感想・評価

ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)
5.0
これが卒業制作のクオリティか。
タルコフスキーの他の作品でもよく用いられる、鏡やガラスや水の反射・歪み・揺らめきを扱った映し方が、この時からすでに巧い。

油まみれになって舗装作業をする労働者と、清潔な格好でバイオリンを習う裕福な家柄の少年が出会う話。

ヒエラルキーなどは正直な子どもにとって無意味で、好きなものに興味を持ち、尊敬できるものに憧れを抱く。

水と音、光と鏡、パンと牛乳、労働と音楽、水たまりと道路、男と女、そしてローラーとバイオリンが、美しく"共鳴"するのを感じた、詩的で愛おしい映画。

ラモリスの『赤い風船』と似ているところがあると思って調べてみたら、それを翻案した作品だと知って納得。
暮色涼風

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