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紳士協定のkojikojiのレビュー・感想・評価

紳士協定(1947年製作の映画)
3.4
第20回アカデミー賞作品賞、監督賞、助演女優賞受賞

 多民族社会アメリカでの民族間の反目や排他感情の中で、白人の黒人に対する差別に加えユダヤ人排斥感情は当時根深いものがあったらしいが、ユダヤ人排斥の事実や運動を映画に取り上げることは長いことタブーとされていたらしい。

ドイツのホロコーストの悪夢が去って2年後、そのドイツを破ったアメリカにおいてもこんなにユダヤ人に対する差別が酷かったのかと驚く。映画のストーリーとセリフも全て直球で、好きなパターンの映画ではないが、そういう社会であったなら、この映画の意味は大きく、作品賞も当然の結果だろう。


 幼い息子と老いた母親と暮らす人気ライター、フィル・グリーン(グレゴリー・ペック)はニューヨーク週刊誌編集長に呼ばれ反ユダヤ主義に関する記事を依頼される。彼はユダヤ人になりすましてその反応から真実を書こうするが、周囲の人々の反応は豹変した。一家が住むアパート、母のかかりつけの医者、息子の学校、高級ホテル……。暗黙の「紳士協定」は至る所に存在していた。

差別に対しては、まさに「行動することが大事で、傍観こそがそれを助長している。」とフィルは言う。この言葉こそがこの映画の主題で、例えば無くならないイジメにも、色々なハラスメントにも変わらない大事な言葉だ。私も強くそう思う。

と書きながら、ふと思ったのは、それで今のアメリカ社会はユダヤ人に対する差別はあるのだろうか?ということ。
あのイスラエルに対する異様な過保護ぶりはどうなってるのか?ユダヤ人のロビーストがアメリカを牛耳って、イスラエル一辺倒の政策を取り続けているのは、反論すれば「反ユダヤ」と言って非難するという「反ユダヤ」を逆手に取ったやり方をしているのではないか?
もし「反ユダヤ」をそんなことに使っているならこの映画は悲しいことになる。

私が勝手な思いなのだか、ここまで考えてしまって、すごく嫌な気分になった。

2023.01.20視聴31
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