タミキーリ

紳士協定のタミキーリのレビュー・感想・評価

紳士協定(1947年製作の映画)
4.3
反ユダヤ主義の記事を書く為に、主人公がユダヤ人になってみて、周囲の反応があからさまに変化する様を体感していく展開。「グリーンブック 」は見た目も含めた差別、「紳士協定」は見た目は変わらないのに名前の最後だけが変わるだけで対応が変化する。どちらも受ける側に落ち度はない。
「グリーンブック 」も「紳士協定」も登場人物にとって「気づき」を得る流れはある。ただ後者は、「善人だけれども無関心で声を上げたり、行動を起こさないことで自分も差別に加担している」という点をきちんと作品の中で描いていた。印象的なのが、主人公の子どもが差別を受けていじめられて帰った時極端な拒絶であれば、それが悪であると言っているのも同然となる。「自分はそうでなくて良かった」と優越感で接することがいかに害悪であるかという点をこの作品は1947年という時代に描いている。主人公の母親が語る未来には、まだ全然なっていないのが悲しい。
この作品で助演女優賞を受賞した、セレステ・ホルムが演じるアンがとても魅力的だった。彼女のようにニュートラルな考えの人は素敵。