ガラムマサラ

疑惑のガラムマサラのレビュー・感想・評価

疑惑(1982年製作の映画)
3.9
怖い女と強い女

主演二人の女性としての強さがたまりません。


桃井かおりが夫殺しの被告人として裁判の席に立たされるんですが、本当に、とことん"嫌な女"なんです。
「こいつうぜー」といった嫌悪を抱かせる女と言いますか、コンビニバイトが一番出会いたくないタイプの客と言いますか。
誰も同情を抱かない。作中の人物と同じくらいの敵疑心を勝手に抱いてしまうくらい。
キャラだけでパンチ効いてますよ。
お陰で先が読めないし望むエンディングも実にブレる。何がハッピーエンドか読めなくなっちゃうんですよ。

そんな女に相対し、一緒に戦う弁護士の岩下志麻。これがかっこいい。
強い女性としての理想。物怖じせず、淡々と的確に弁護士として為すべきことを成していく。もう惚れる。

しかしそんな彼女でも手を焼く難件である一連の事件。
厄介女桃井かおりに振り回され、出来る女の岩下志麻を信じてみたくなり……二人の演技派女優によりどんどん疑惑を深められていく気持ちのいい作品でした。