野村芳太郎×松本清張作品。
昭和のこの頃の映画は人物描写に凄みがあって好き。観てからしばらく経っても、桃井かおりのはすっぱな感じや岩下志麻のすましたキャリアウーマンのキャラクターが忘れられない。法廷サスペンスとして、ワイルダーの『情婦』に匹敵するくらい面白いと思う。いわば、魅惑の美女ふたりのバディもの？
岩下志麻といえば、『秋刀魚の味』と『極道の女たち』だけど、弁護士役もいい。背筋がシュッと伸びて、見下ろす感じのSっ気の強い役が本当に素敵。かおりも志麻も、タバコスパスパ、かっこいい。ちなみに、情婦のマレーネ・デートリッヒのタバコを吸う姿も素敵......。
突然の客人に、岩下志麻が瓶ビールをお盆の上にのせ、差し出す所作がこなれている。ああそうだ、こういう人は一人で家にいてもきちんとしてる。きっと寝る直前までメイクはしっかりしているよね、とか余計なことを思ったりした。栓抜きでトントンってビールの栓を叩くの、昭和っぽくていいなあ。今もするのかな？
