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阿弥陀堂だよりのoliveのレビュー・感想・評価

阿弥陀堂だより(2002年製作の映画)
5.0
いい映画と出会えた、しみじみいい映画だ。北林谷栄が圧倒的でとてもとてもいい。
生と死は地続き、生の延長上に死があるという事を里山の暮らしから感じ取ることができる、幼子は野山を駆け回って危ない事も楽しい事も経験し、一緒に暮らしていた年寄がひっそりといなくなる。死は隣りにあるということを肌感覚で理解しながら成長する。
病の夫の隣で「もうじきまた独りぼっちになる」と妻が呟く。縁起でもないと避ける会話もごく当たり前、死を恐れ遠ざける事をしない。
四季の移ろいを一本の映画の中でリアルに描きゆったりと流れる時間と景色。棚田、山、川、雲、夕日、雪、阿弥陀堂…。どの景色も大きく、生も死も包み込む。
映画館で見ればもっとよかっただろう。

劇団民藝を宇野重吉と立ち上げた北林谷栄、90を過ぎて寺尾聰と演じることにどんな感慨があったのだろうと思う。
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