Maoryu002

ブルックリン横丁のMaoryu002のレビュー・感想・評価

ブルックリン横丁(1945年製作の映画)
4.4
20世紀初頭のブルックリン。夢を追い続ける芸人ジョニー(ジェームズ・ダン)は妻ケイティ(ドロシー・マクガイア)、娘フランシー(ペギー・アン・ガーナー)、息子ニーリー(テッド・ドナルドソン)と貧乏生活に苦しんでいた。やがてケイティが妊娠し、さらに生活に行き詰まったジョニーは無理な肉体労働に就こうとするのだった。

登場するみんなが温かく、お互いを想いやっているんだけど、心の弱さと貧乏が重なって、不幸のスパイラルにはまっていく。

夢ばかり追う亭主に、噂など気にせず奔放な姉。彼らを羨ましく感じつつも、義務感から厳格になり、ちょっと鬱気味のケイティ。
同じエリア・カザン監督の「紳士協定」では、世間知らずなお嬢様役だったドロシー・マクガイアが全く印象違ってて、その演技力に感心させられた。
でも、彼女の “一流の人間になって欲しい” という言葉に夢を追う夫は追い詰められ、子供たちは委縮する。なんか今の子育てにも見られる構図だったなー。

一方、アル中だけど家族想いで人望厚いジョニー役のジェームズ・ダンの演技は奇跡的。特長的な人格がものすごく分かりやすく表現されていた。
教師がフランシーに言った “夢見るだけでは誰も救えない、自分さえも” という言葉がジョニーに刺さっちゃったんだろう。涙
型にはまらない彼なりの愛情表現だって、間違ってなかったと思うんだけど…

エリア・カザンの映画は、セリフでかなりはっきりメッセージを伝えてくれるので分かりやすい。
この映画も終わり方は緩いけど、とても心が温かくなるいい物語だった。

ただ、フランシー役のペギー・アン・ガーナーが「ジェーン・エア」でも大人っぽ過ぎるというか、カメラ慣れし過ぎで嫌味に映ってしまう。
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