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ヘルボーイのmegurosのレビュー・感想・評価

ヘルボーイ(2004年製作の映画)
3.8
オカルティズムとは世界を非「正統的」な方法で世界を認識、再編する試みであると何かの本で読んだのだが、ナチスに関してはオカルト秘密結社トゥーレ協会が母体になっていたりの関連もあって、ナチズムを説明するためにオカルティズムを重ね合わせた物語作品は殊更に多い。

これもそのうちの一つで、大戦末期に形勢逆転を狙ったナチスが冥界の扉を開き、混沌の七龍神オグドル・ヤハドを召喚せんとする「ラグナロク計画」を実行、その計画こそ失敗するものの、その際にスルッと人間界にやってきた悪魔の子供を、超常現象研究家でありルーズベルト大統領の顧問もしていたブルーム教授が育て、それが後にFBIの超常現象捜査防衛局に勤務する”ヘルボーイ”であるという設定。

悪魔であるが故に被差別対象でもあるヘルボーイを通して人格や個性、その人は何によって決まるのか?という問いが立てられる。血や遺伝子ではなく一つ一つの”選択”によって決定されるのだという話が、ナチスの優生主義に対するアンチテーゼとしても機能していて、話としてはキレイ。

ただ、敵役のデザインや設定にもう少し魅力があったらもっと良くなったようにも思う。操り人形のブレード忍者クロエネンは良かったが、怪僧ラスプーチンはキャラが弱く、1つ死んで2つ生まれる地獄の番犬サマエルには後半驚きが失われていた。
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