いわゆる 西部劇・騎兵隊の 娯楽作品ではなく、軍隊組織の特質を 描いた "異色作" だと言える。
(カスター中佐 の 第七騎兵隊 全滅(リトルビッグホーンの戦い)史実からの構想。)
軍人の"帰属意識"・"階級意識"や 士官学校出身の"下士官"と"たたき上げ軍人"の違い、家族的な戦友の繋がり と 上官の孤独、
上官命令による規律 や 転属願い制度、昇格の上官推薦制度、勲章授与者の子弟の士官学校推薦制度、儀礼服を着て参加する軍人ダンスパーティ の慣例 にも触れている。
何よりも 司令官である将軍の 保身や武勲・出世欲の為に 犠牲となる兵士達の悲劇。
職業軍人達の 戦闘の恐怖から来る ある種の"戦死願望"への 精神安定の構図 が、恐ろしい!
戦争を食い物する "白人武器商人" の存在や、アパッチ族 での シャーマンの存在・酋長 の戦争に対する崇高な考え方 も描いている。
"名誉ある戦死"を尊び、戦略・戦術の失敗を隠蔽する 軍人組織体質 や
軍人と結婚する軍人の娘、孫の 軍人ファミリー集団 を描いたラストシーン に "ジョン・フォード"監督が 決して 軍人を好意的に 捉えてはいない。
部下の進言には 生理的・感情的に逆らい停戦交渉も無視し、左遷された辺境からの返咲きの私欲のためだけの奇襲作戦に、4倍の兵力の敵を見て急に話合いに来たと作戦変更する降格将軍には 痛烈な笑い どころでした。
"カービー・ヨーク"大尉役 "ジョン・ウェイン"特有の 男前キャラ設定による娯楽性も無く、サースデイ将軍(中佐)役 "ヘンリー・フォンダ"特有 の 良識派キャラ設定 も無い。
可憐な サースデイ中佐の娘 フィラデルフィア役 が "シャーリー・テンプル" だったなんて。
白黒作品なのに 突き抜ける様な 青空と雲 を感じる 映像。
NHK BSP 2022/4/15