くろねこヤマ子

椿三十郎のくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

椿三十郎(1962年製作の映画)
4.3
初期の頃の
編集の荒さがなくなり、
監督の美学が漏れる。

無駄とタルミを取り除き、
映像、台詞、挿入音が
互いに際立つよう、
計算された周到さに唸らされる。

観ていてスッキリと気持ち良い。
それはカメラワークも然り。
こういう感覚はとても好き。

話の筋は至ってコンパクト。
藩の現状を憂い、
奮起を挙げた若侍9人。
ヨチヨチ歩きの彼らの窮地を
流し侍の三船が救う、物語。

未熟者たちを従えて進む姿は、
芝居とはなんぞやまでもを
若き血潮に伝えているようにも見え、
なんだか熱くなる。

そしてラストのシーン。
目が追いつけなかった刀さばき。
これがかの有名な血飛沫か。

菊千代、数年で強くなったなぁって
思ったり。(作品違い)
入江たか子とのやり取りに
にんまりしたり。

とにかく何処までも爽快だった。
ごちゃごちゃしていないし、
下品じゃない笑いがあって、
そして心に響くものも。

こういう作品が観れるって。

…幸せだなぁ。