アーカンソー州でウェイトレスをするルイーズと専業主婦のテルマ。親友の2人は週末にドライブ旅行に出かける。道中に寄ったバーで泥酔したテルマは駐車場でレイプされそうになり、助けに入ったルイーズはその男を射殺してしまう。2人はその場から逃走し、メキシコに逃げる計画を立てる。
第64回アカデミー賞において脚本賞を受賞した作品。2016年にはアメリカ国立フィルム登録簿に追加されました。
2人の女性の逃避行。どんどん後に戻れない展開になっていき破滅へと向かっていく。女性版アメリカン・ニューシネマと呼ばれることもあるように、ある種の滅びの美学のようです。こんな作風ですが、意外にも90年代に入ってからの作品なんですね。
すぐに人を信用してしまう、ちょっと残念な美人感のあるテルマ。颯爽としていて引っ張っていくタイプだけど、実は繊細なルイーズ。時には言い合いもしたりするけど、ホントの絆で結ばれてる友達ってこういう感じなんだろうなぁと思いました。
逃避行ではあるものの、2人はめちゃくちゃ楽しそうで、ポジティブな考えを持っています。表面上は女の自由爆発!みたいに見えたりもしますが、彼女たちは虐げられている側の人間であり、この自由も反逆の延長戦上にあるものだと思います。男たちに虐げられてきた2人がそれに反抗し、自分たちを解放していく様は、事の中身で言えば気持ちの良いものではないのですが、爽快感を感じざるを得なかったです。
明るくあかりながらも破滅に向かっていき、そして迎えるラストシーン。これがまぁ素晴らしい。2人の絆からなるキスシーン。反抗することで自由を掴んできた2人が文字通り、全てから解放される。滅びの美学を感じました。
テルマとルイーズはAIFに選ばれた「アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」においてヒーロー部門で第24位にランクインしています。
ブラッド・ピットの出世作としても知られ、まだまだ若くヤンチャなブラピの姿を拝むことをができます。
2人の乗るサンダーバードやファッション、そしてウエスタン感漂う景色にラストのデッド・ホース・ポイントの壮大な美しさ。視覚的な魅力もたくさんありました。
抑圧され、虐げられてきた2人の女性。破滅に向かいながらも、自由を手にする姿はめちゃくちゃかっこよく見えました。だからといってそれだけではなく、根本にある無慈悲な現実もしっかりと見せてくれます。さすがシスターフッド映画の金字塔、引き込まれるものがある作品でした。