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テルマ&ルイーズのCisaraghiのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
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すごいな、リドスコ、28年も前にこんな映画を撮っていたなんて。最高だった、最後を除いて…。こんな素晴らしいバディームービーがあったことを今まで知らなかったなんて不覚だ…。最高の二人だよ。でも、当時観ていたとして、この自分より年上でずっと大人で魅力的な、アメリカ労働者階級の中年白人女性( と言い切るにはジーナ・デイヴィス35歳は若いが )二人にどこまで共感出来ただろうか?という疑問も持つ。

アカデミー脚本賞を受賞したカーリ・クーリは当然女性。公開当時33歳。この脚本は女性にしか書けないし、この映画の気持ちよさを本当にわかるのもおそらく女性だけではないかと思う。だから、作品賞を獲ってもおかしくないくらいの傑作なのにノミネートすらされていないのでは。(この年は『羊たちの沈黙』があったので受賞は無理だったにせよ。) そのせいもあってか、かつてはブラピの出ている小品程度のイメージしか持っていなかった。

最初はアメリカのどこにでもいそうな中年に足を踏み入れた女二人にしか見えないのに、どんどんカッコよくなっていくテルマとルイーズ。大御所のイメージのあるスーザン・サランドン、当時45歳。ジーナ・デイヴィスは庶民的なアメリカのジュリエット・ビノシュという感じ、スタイル超抜群。二人とも出演作品のことはほとんど知らないのにとても有名で、それが何故かイマイチよくわからなかったのだが、こんな伝説的な映画にW主演していたと知ってやっと腑に落ちた。

ブラピ27歳、クリヘム味ある。お笑い枠がハマる俳優だったとは知らなかった。細っこさといいフニャフニャした話し方といい、マッチョ味皆無。何なら鎧を着ないヒュー・グラント路線で行った方がよかったのでは?クリヘムと違って着ぐるみみたいな余計な筋肉がついていない見事な身体は "持ってる感"ある。さすがスターだ。

それにしても、最初の方で、テルマの家の中が映し出された瞬間あたりから、これは…と思わせられたこの映画力は何なんだろう?あまりにも有名なせいで凡庸にすら感じるアメリカ西部の景勝地の風景や、映画で見慣れ過ぎたために退屈とも言える、真っ直ぐな道路がだだっ広い平原を貫いて走る風景が、この映画では蒼く鮮烈な映像として立ち現れるのはどういう訳なのだろう?リドリー・スコットの映画は『エイリアン』の他に3本くらいしか観てないが、伊達に名のある監督じゃないと恐れ入った。

ジーナ・デイヴィスが犬の真似をするシーンと、ダリルに電話をかけるシーンすごく受けた。
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