菩薩

港の日本娘の菩薩のレビュー・感想・評価

港の日本娘(1933年製作の映画)
4.3
横浜と書いてハマ、港を出て行く船と戻る船、学校への道、二人で歩いた帰り道、だがもう貴女と二人では歩けない。行きはヨイヨイ帰りは怖い、一度道を踏み外したら、世間は簡単には許しちゃくれない。不幸の大海原を漂う私にとっては、貴女の幸福の灯りが頼りだったのに、私ったら少し甘え過ぎてしまったみたい。私の幸福と貴女の幸福、どうしても一辺には手に入らないのかしら、だとしたら貴女はお行きなさい、貴女は貴女の幸せにお帰りなさい。雨降って固まる地もあるのだろうけど、雨に晒され朽ちて流されて行く地もあるみたい、でも私は耐えてみるわ、天が全てを許したもうその日まで。私はまた、ここを出て行く、行きはヨイヨイ帰りは怖い、この船はこの先、どこの港に辿り着くのかしら。さようならハマ、さようなら私が愛した人、ほつれた糸は、元には戻らないみたい、けどいつかまたあの道を、二人で歩けたらいいわね。
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