Reiko

ニーベルンゲン/ジークフリートのReikoのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

活弁シネマートで観ました。
活弁と演奏付きだとサイレント映画はこんなに観やすいのか、と感動しました。サイレント映画の魅力を知る上で、活動弁士さんと演奏の役割は非常に大きかったのだと実感しました。

映像、美しいです。1番印象的なのは最後の、ジークフリートの遺体の元にクリームヒルトが訪れるところ。彼の足元で黒服のブリュンヒルトが自害し、白い姿のクリームヒルトが復讐を決意する。
監督がフリッツラングなので表現主義の話になりますが、この作品でも表現主義独特の、垂直デザインが目立つシーン(うまく言えない)がこの作品でも散見されて、城内のシーンなどは天井の方まで映すことで荘厳さが出ていました。
ジークフリートとクリームヒルトが過ごす部屋は明るく直線的、ブリュンヒルトの部屋は暗く円形で、「ドイツ神話だ…」って感じがしました。

ニーベルンゲンの歌は二部作で悲劇ですが、前半のジークフリートは冒険譚なので楽しいとこもあります。ドラゴンとか、あとブリュンヒルトとのバトルは少し滑稽にも見えます。それがブリュンヒルトの耐え難い激情を生み出し、悲劇につながっていくと思うとすんなり笑えないですが…ブリュンヒルトは悪意も持っていますが、その誇り高さに惹かれます。

パウルリヒターのジークフリートは正に王の風格を持ち、明るく真っ直ぐ、聡明快活健康、そして万能。ドイツの英雄、理想の存在なのかなと思います。表情がとてもいいです。グンテル王の演技も良かったです。心の弱さや卑怯さ、嫉妬心、恐れ、苦悩が王の気品を損なわないで表現されていると感じました。

特殊撮影も使われてますが個人的には耐えられる。(映像が不鮮明というのは相当大きいかもですが)90年以上前の映画でこれより見た目がいい特撮って、詳しくないのでパッと浮かばないです…。
服や背景もすごく凝ってます。

劇場ではドラゴン動かすのは17人て聞いて、ネットでは7人って書いてあったのですが、どっちでしょう。とにかく1924年で実寸大のドラゴン、大作業なのは伝わってきます。

血を浴びてなかった部分をなぜクリームヒルトが知ってたのか謎です。ドイツ神話研究者とかは知ってるんでしょうか…
Reiko

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