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きみに読む物語のkenのレビュー・感想・評価

きみに読む物語(2004年製作の映画)
4.5
冒頭、年老いた主人公ノア(ジェームズ・ガーナー)が言う言葉に、この物語の全てが言い尽くされている。

「誰にも負けなかったことがある。
命懸けである人を愛した。
私にはそれで十分だ。」

何て素敵な愛の言葉だろう!
身分、資産、職種に関係なく、人として恋人、妻に対して唯一誰にも負けずに全身全霊でできること。されど、これは簡単なことではない…。

認知症でアルツハイマー症の老いた妻アリー(ジーナ・ローランス)へノートに書いたある物語を日々読み聞かせる夫。
過去を思い出せず夫を他人と認識している妻。しかし、毎日その時間を心待ちにしていて感想を述べる。ノアにとっても本当にかけがえのない夫婦の時間であり、彼の言動には深く感銘した。

娘夫婦達と孫が訪ねて来た時、娘達に療養施設から戻ってくるよう促されるが、「ママが私の家さ」と答える。何て心優しい夫の言葉なんだ。

若き日のノアをライアン・ゴズリング、アリーをレイチェル・マクアダムスが演じているが、2人共若い!ライアンは美青年でハンチング帽がよく似合う。レイチェルははち切れんばかりの若さをもった明るいハイスクール生徒。2人の恋はアリーの母親によって引き裂かれるが、一夏の思い出にはならず…。

後年、婚約したアリーがけじめをつけにノアに会いに行くが、そこで初めて365通ものラブレターの存在を知る。ノアはアリーが16歳の時からずっと変わることなく愛し続けてきた。2人は激しくぶつかり合うと同時に求め合う。ノアの誰にも負けない真実の愛をアリーが受け入れることを素直に喜べた。

「それ私たちね」最後はアリーに奇跡が起きたと思わず自らも身震いして目頭がとても熱くなった。だが、それも束の間で暫くすると記憶は無くなりノアは他人となる。そのひと時の為に、日々読み聞かせる夫婦の物語。翌朝、最愛の妻の両手を握り添い寝をしたノアはアリーと共に帰らぬ人となる。

今からでも遅くはない。世の男性は恋人や妻を命懸けで守り愛すべきなのだと気づかせてくれる。是非、恋人、妻と鑑賞してほしい。