OASIS

マジシャンズのOASISのレビュー・感想・評価

マジシャンズ(2005年製作の映画)
3.3
大みそかの夜、森の中にあるカフェでかつて自殺したメンバーの命日の為集まったバンド仲間「マジシャンズ」の話。

全編95分をワンカットで撮ったという映画。
こういう手法の作品は初めて観たが、過去、現在が切り替わる瞬間のスムーズさに見入ってしまった。

冒頭、一人の女の子が森の中から出て来て何やらギターを弾き踊りながらフワーと浮き上がったかと思えばカフェの2Fに侵入し、そこで会話をしている男二人組の元へと近付いて行く。
しかし、二人は彼女の存在にお構い無しに話し続け、彼女も抱き付いたり勝手に飲み物を飲んだりちょっかいを出す。
そこで、二人の会話からどうやら今目の前に居る彼女は自殺した女性ジャウンであるという事が分かるという出だし。
ジャウンが画面に現れては消えてを繰り返してちょっと鬱陶しいのだけど、女優の仕草やらが可愛いので男二人の会話よりも彼女の動向を尻目に見ている方が楽しい。
ちょっとコント的な面白さもあったり。

やがて男が奥にある階段を登り始めるとカメラもそのままそれに着いて行き、二階に上がっていくとそこには自殺する前のジャウンが居て、過去の話へと戻って行く。
現在→過去や過去→現在へと移行する瞬間、メイクをしてみたり照明をつけてみたりそしてリバーシブルな服を着替えて中や外に歩いて行ったりと、まるで演劇か舞台かというように場面が移り変わって行くのが面白かった。
ジャウンが建物から飛び降りるシーンのカーテンの使い方が絶妙で、一つの場面の中に現実とファンタジーが共存しているかのような絵作りに映画とも舞台とも言えない不思議なものを見ている感覚を覚えた。

画面から姿を消している間に衣装をチェンジして、いかにカメラに映り込まないかと思案し模索し、計算する撮影現場の苦悩は伝わって来た。
正直、話としては全然驚きも無いしバンドメンバー間の嫉妬渦巻く恋愛事情がある訳でも無くドラマも薄いしで目新しさは感じられない。
演技を始める前に実際の動きを猛特訓する演者達や、いかに視界から障害物を消そうかと苦労しているスタッフ達を映したメイキングシーンの方が興味深くて為になるのではと思った。