35年ぶりぐらいに再見、
昨年、6時間超えの超超大作ドキュメンタリー「水俣曼荼羅」を撮り、大好評だった原一男監督の代表作。
公開時から高い評価を受け、ウキ情報によると、
マイケル・ムーアは、「生涯ベストのドキュメンタリー!」と絶賛したとのこと。
35年前の僕に、この映画が理解できるわけなく、何となく、すげーおっさんだなとしか感じていなかったと思う。
奥崎謙三(あえて呼び捨て)と同じ歳になった今の自分も、その時とあまり変わらない。
いや、あの当時より、もっとこの映画をどう評価していいのか、どう捉えていいのかが全く分からなくなった気もする💦
一つ言えることは、よく撮れたな、よく公開できたな、ということ。
あれだけの内容、
奥崎により抉り出された過去を、
よく映っている人たちが許可したな、
訴訟とかにはなっていなかったのだろうか、、、
「正義のためには暴力も辞さない」と豪語し、実際にそれを行い、何度もムショに入れられる奥崎。
これが劇映画だったら、実話ベースのものであったとしても、その人物に対して
どこか観客に逃げ道みたいなものがある気がする。
人物を創造上のものと、一旦、別の棚に置いてから、評価することができる。
しかし、奥崎は実際に存在した。
彼がカメラの前で行ったことは実際に起きたのだ。
ひょっとして、奥崎は、カメラを意識して、ある意味、オーバーアクトをしたのではないだろうか?
ユーザーさんのレビューの中に、
監督の原一男さんの講演と共に観たという文章があったが、是非、監督のトークを聴いてみたい。
暴力を肯定し、実際にやってしまう奥崎を
決して認めるわけにはいかない。
だが、彼をあそこまで駆り立てたもの
彼が追及した人、彼に抉り出された人たちが隠そうとしたもの、
それこそが、戦争という底なしの虚無の世界を表しているような気がする。
ある意味、究極の反戦作品とも言えるのではないだろうか。
奥崎が訪問する人たちにも、戦後、彼らが必死に作ってきた現実がある。
ある人は、孫がカメラに映ったり、
商売をして立派なお店やお家を建てたり
そんな戦後積み上げてきたものを、奥崎は
壊しに来た!
僕は、暴力と共に、彼の手法で許し難いのは、被害者の家族のダミーを使ったこと。
彼の中では、正義のためには手段を選ばす何だろう。
奥崎自身への評価は置いておいて、
こんなにいろいろ考えてさせてくれる
混乱させてくれる作品はそうざらにない、
という点で、稀有の映画と言えるだろう。
映っているもの、全てを通して、訴えかける、
それがドキュメンタリー!なのかな?😅
僕は、奥崎と共に、彼の奥さんや
訪問先の家族についても気になってしまった、
まあ、それって、少しは多角的に観れたってことかな、、、
スコアはあくまで暫定的、
点数つけるのは難しい💦