ドキュメンタリーだけど、これほど生々しい「戦争映画」もない。
戦地で起こった事を墓まで持っていこうとする元上官達と、意地でもそれを吐かせようとする奥崎謙三。
この両者のぶつかり合いが、我々の想像を絶する戦争の悲惨さを浮かび上がらせる。
ただ、奥崎謙三の「戦争責任を明らかにする」という目的には共感できても、その手段には同意しかねるものがある。
ナチスやテロリストだって、自分の行いを「良い結果をもたらす暴力」と言って正当化していたのだから、そういう考えは非常に危険である。(実際、その言葉の直後に彼が元上官の息子を撃って逮捕されるという衝撃の幕引きを迎える)
でも、彼自身も戦場で修羅場を経験してきてるので、根本的な価値観を改めることはできないのだろうし、そんな彼があれほどの気迫で元上官に迫ったからこそ話を聞き出せたんだと思うと複雑な気持ちになる。
戦争を生き残った人と、戦後生まれの人間の決定的な価値観の断絶をも見せつけられた。