映画男

ゆきゆきて、神軍の映画男のレビュー・感想・評価

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)
4.8
大平洋戦争で壮絶なサバイバル体験して生き残った男、奥崎謙三。この男の中では戦争はまだ終わっていなかった。敗戦後も天皇にパチンコ玉をぶつけたり、上官の生き残りを殺そうとしたり、とにかく暴力で戦争廃止、日本解体を訴える気狂いみたいな男だが、このドキュメンタリーを観ていると一概にも奥崎謙三が悪とは思えないから不思議。彼はなんというか、戦争の象徴である。

このドキュメンタリーは、終戦後23日経っているにも関わらず東南アジアで日本兵が射殺されたことを究明するために奥崎謙三が当時の兵隊に会いにいくのがメインテーマ。もう当時の戦況聞いたらえぐい。凄まじい飢餓との闘い。人肉まで食う始末。


正直いっておれは慰安婦とかも含めてこれらの戦争問題をどう考えたらいいかわからん。倫理観や常識が狂っていた時代だから何もいえない。戦時中の問題は、あんたら昭和の人間が話合って解決してほしいと思う。ただ奥崎謙三はじめ戦争経験者の話を聞いて共通することは、「戦争はもうこりごりだ」ということだ。これは全員一致していた。それと「このままでは戦争がまた起こりそうな予感がする(当時1982年)」これも何人か言うてた。おれもそんな気がする。

平和のためのドキュメンタリーとしてこの映画がずっと残ればいいと思う。
映画男

映画男