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ゆきゆきて、神軍のzhenli13のレビュー・感想・評価

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)
3.8
前半は奥崎謙三の執着性とそこはかとない長閑さ(元軍曹に殴りかかるシーンもなんだかゆったりとしてる)に笑ってしまったんだけど、徐々に処刑事件の核心が浮かび上がり、最初に登場した遺族のお母さんの顛末までに至る「物語」としての構成に圧倒された。

何がすごいって奥崎謙三の整合性の無さや無茶苦茶さを、ドキュメンタリーという反戦の「物語」に仕立て上げた原一男の手腕(というか狂気)ではないか。フラハティから、いやリュミエール兄弟から既に確信犯的な演出ありきの虚実ないまぜこそがドキュメンタリーであることを、まざまざと見せつける。そして奥崎氏の奥さんがすごい。
DVDについてたリーフレットを見ると映画だけでは見えなかった奥崎の自己尊大性が浮かび上がる不思議。
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