カス

ゆきゆきて、神軍のカスのレビュー・感想・評価

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)
3.0
 対象者と共犯関係となり愚直に事実を追い求めていく様はすごい。
 スタートして1分も経たぬうちに岡崎謙三がヤバい人だとわかる。保田與重郎をいい例として行き過ぎた愛国主義は裏返って左翼的になっていく。
 半分過ぎたあたりから「黒肉は食べたけど白肉は食べてない」「いやあなたは日本人も食べたはずだ」との押し問答は日本的感覚でおもしろい。人肉を食べることへの罪はなにもなく戦争が終わってから地位が低い軍人を食べてたことについて押し問答している。確かに国家神道では人肉を食べることは禁止されていないなと笑える。普通に考えれば日本が勝手にはじめた戦争の中巻き込まれたニューギニアの先住民たちが食べられていたことの方がかわいそうに思えるがそんなことはどうでもいいのだろう。
 ニューギニアの事実を知りたいと追い求めていく中でカニバイズムにぶち当たっていくという構造は軍旗はためくもとにと同じものだなと思う。どこもかしこでも戦争は悲惨なものだ。レーニングラードでは壁を食べて生き残ったという話もある。人肉はまだ有機物だけれども無機物さえ食べて生き残るのが戦争なのだ。殺し犯しを繰り返す。今、戦争体験者が少なくなっている。世界中のファシスト共が戦争をしたくうずうずしている。安倍も敵基地攻撃能力などとわめきだしている。戦争がしたい人間は一言で表せる。無知なんだと。無知な人間ほど怖いものはない。レイシズムやファシズムは無知から生まれてくるものだ。知識は誰かを攻撃するためではなく自分や周りの人間を守るためにある。安倍も我が闘争を読む暇があるのならばもう少し歴史について学ぶべきではないか。
カス

カス