Melko

鉄道員(ぽっぽや)のMelkoのレビュー・感想・評価

鉄道員(ぽっぽや)(1999年製作の映画)
3.8
かっけえなあ、健さん…

「見たいリスト」に長い間入ってた作品が、アマプラに入ってるの見つけて嬉しくて興奮しながら見始めたけど、邦画独特のゆーったりとした進行に、途中ちょっと眠気が…

でも俯いて、ぽっぽやの帽子のツバで目が隠れた健さんが最高に渋いんだなあ…
現実路線かと思いきや、まさかのファンタジー、訪れる不思議な少女のことも、早々に見当がついてしまうんだけど、いいのよそんなこと。仕事一筋、妻子の死目にも会えなかった。見てるこっちにも、「何も良いことが起きない人生だな…悲しい…」って思わせる。だからこその最後。
劇中の健さんと全く同じタイミングで泣いちゃったよ。溢れる涙が止められなかったよ。真面目に生きていれば、良いことがあるもんだな、って思った。

利用客がほぼいない路線。
サボろう、手を抜こう、辞めようと思えばいつだって辞められる仕事。何のためにやってるのかわからない仕事。それでも毎日、雨の日も雪の日も立ち続ける。仕事に真摯に取り組む。自分の信じた道を突き進み、自分の仕事に誇りを持って取り組む姿は、かっこいいです。こういう生き方って、古いんだろうけど、「後悔はないよ」って言い切れるような仕事したいと思った。
「おとさん」て呼ばれてたのが、「おとうさん」に聞こえて、実子を亡くした乙松が、色んな人のおとうさんになってたのかなあなんて思ったり。

もう1人の「けんさん」も良い仕事してた。短い出演シーンだったけど、生きるために働く男の悲哀が感じられた。コメディアンらしさを盛り込んでくれてたところも良かった。

北海道の厳しい自然は、力強く美しい。
完全に見る季節間違えたけど、眼福な世界でした。

まあ確かに、透明感は半端ないけど、あの役は広末涼子じゃなくてもよかったんじゃないか、とか、ほのぼの見てたこちらに面食らわせるあのキスシーンは要るのか…
とか色々疑問はあったりするんだけど、、でも考えてみたら、小さい女の子の結婚したい相手はお父さんだったりするし、そういう微笑ましいやり取りができなかった乙松の人生を考えると、あのシーンはあって然るべし、って自分の中では結論出た。
あと、結末に関してはわたしは蛇足と思いません。あれがあってこそ、乙松の人生の説得力があると、わたしは思います。
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