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キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.5
【隠れた18禁フィリピン版『冷たい熱帯魚』は鬼畜だった】
今年は異例のフィリピン映画年だ!「ダイ・ビューティフル」、「ローザは告発された」、「立ち去った女」に日本人監督・長谷井宏紀がフィリピンで撮った「ブランカとギター弾き」とフィリピン映画が4本も公開されている。こんな年かつてあっただろうか?残念ながら、「ローザは告発された」を観逃してしまったので、この映画の監督ブリランテ・メンドーサの過去作を観てみました。そうしたら思わぬ地獄絵図が広がっていた...

☆「キナタイ マニラ・アンダーグラウンド」あらすじ
第62回カンヌ国際映画祭監督賞受賞作。警察学校で学ぶ男は、恋人と結婚し、子どもを産むために金を必要としていた。収入は少なく、男は麻薬売買等裏稼業で金を稼いでいた。ある日、大金を得るチャンスを掴み、夜な夜なマニラのアンダーグラウンドへ行くと...

☆鬼畜度「冷たい熱帯魚」級!
Webでの評価だと、「二度と観たくない」「胸くそ悪い」みたいな評判で包まれていた。しかし、ブンブン観る前、「タイトル通り暗い話だから当然でしょう」と思っていました。しかし、想像の100倍暗く(文字通り)、悲惨な映画でした。

まず、言及したいのが、なぜこれR-18じゃないんだと。TSUTAYAに普通にノーレイティングで置いてあったのですが、実際観てみると、「冷たい熱帯魚」を彷彿とさせられる鬼畜な作品でした。警察学校で警察目指して勉強している男が、仕方なしに闇稼業に手を染めていく。そして、闇の深部にたどり着いたとき、観客が目にするものは、レイプに人体解体ショー、暴力に暴力を重ねたシーンだ。

普通のDVD再生環境で観ると、意地悪なほどに画面が暗く非常に見づらい。ある種その見づらさが、映画をマイルドにしていたのだが、先日購入した4Kテレビで観ると、まるでホームビデオ、POV視点で、凄惨でジトジト生々しい暴力が展開されるので、ブンブン悲鳴を上げるぐらいキツかったです。

確かにタイトル「キナタイ(最初、「キタナイ マニラ・アンダーグラウンド」と読んでしまった)」はタガログ語で「屠殺」という意味だけに、タイトル負けしない暴力シーンが展開される。ドキュメンタリータッチで描くことで、警察として正義を志す者ですら貧困に抗えない哀しみがしっかり描けていると言える。

「冷たい熱帯魚」のようにコメディシーンはないので、体調が絶好調の時以外、観てはいけない作品でした。
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