イペー

ホーリー・マウンテンのイペーのレビュー・感想・評価

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)
3.9
過激な"聖"描写!

アレハンドロ・ホドロフスキー監督による、カルト映画を代表するカルト映画。

この映画、ヤバくな〜い?
…思わず自分を見失ってしまう程、脳天に突き刺さる強烈な作品でした。

ストーリーはあって無いようなもの。キリストっぽい風貌の若者が、錬金術師に導かれ、他の弟子たちと共に聖なる山へと至る、というのが基本。そんな流れをぶっちぎる勢いで、次から次へと奇想天外なビジュアルが炸裂します。

ビビッドな色彩で描かれるのは、生命が持つエネルギーそのもの。
裸の老若男女と、裸の動物たちと、血液と、ウ◯チと、食べものと、食べられないものと、キンタ祭りと、馬がウマったりと…。とてもじゃないが書き切れません。

摩訶不思議で、破壊的にシュールな映像が、こちらの思考力をボッコボコにしてくれます。論理的な解釈なんて無理!

本来ならば、この奔放過ぎるイマジネーションに身を委ね、夢見心地なトリップを楽しむのが一番。
それでも恐る恐る解釈に挑戦しますと、ホドロフスキー監督の確固たる信念の表れもあるのかも、と感じました。

暗喩やシンボル、神秘主義的な記号を過剰なまでに配置し、常に物事が重なって見える様に、細心の注意を払っている気がします。だからこそ、パッと見ただけではワケが分からない。

時間をかけて紹介される8人の弟子たちは、それぞれに人間の持つ俗っぽさを体現しています。かと言って単純に世俗を否定して、神や宗教を賛美する映画ではありません。分かりやすい二項対立は拒まれています。

一元的なモノの見方に捉われるな。ひとつのモノに、ひとつの意味だけを求めるな。
そんな主張が、聖なる山への旅路の中で聞こえたのは、自分だけでしょうか…。

とりあえず、賛成も反対も、好きも嫌いもあって良し、むしろそれが自然な在り方だし、映画こそがそうあるべきだ…と。無責任にも思えるラストで、強引に納得しました。

こちらの理解を強大なパワーでねじ伏せる本作。観る方によって、そして体調によって、かなり評価に揺らぎがありそうです。
聖なる山の登頂を目指す際には、高山病に注意して下さい。