★ 裏の裏は表。
では、裏の裏の裏の裏の喪の裏は?
とても薄気味悪い作品でした。
主人公は、人前で演じることが苦手な手品師(マジシャン)。しかし、腹話術の人形を相棒にしたところから、運命は回りだして…という物語なのですが、この人形が気持ち悪いのです。
「そんなこと言うなよ」
そもそも、僕は人形が苦手でして。
我が家にも家人の趣味で何体かありますけど、精巧であればあるほど薄気味悪く感じてしまうのです(だから、モノアイ状のモビルスーツが好きなのかも)。
「そんなこと言うなよ」
しかも、主人公を演じたのはアンソニー・ホプキンス。あの《レクター博士》ですからね。腹の奥に狂気を潜めた役柄はピッタリ。余計に背筋に寒いものが走るのです。
「奴は天才だね。あの表情を見てごらんよ」
また、語り過ぎない筆致も極上。
場面と場面の間が飛ぶこともありますが、それが現実と虚構の境界を曖昧にし、幻想的な世界を作り出していました。舞台となる寒々しい“湖”の雰囲気も素晴らしかったですね。あと、主人公のマネージャー役に存在感がある…と思ったら『ロッキー』で《ミッキー》を演じたバージェス・メレディスでした。主人公のサポート役を演じさせたら鉄板ですね。
「無視するなよ。ねえ。ねえ。ねえ」
やはり、人間は孤独な存在。
だから、熱を求めて手を伸ばすのでしょう。
そう考えると、人が作りし虚ろな器は大気に拡散した熱の残滓。鳩尾がきゅぅっと痛くなるのも当然なのです。
「無視するな無視するな無視するな無視する」
まあ、そんなわけで。
70年代映画ならではのテンポに戸惑うことはありまスガ、見捨てルニは惜しい佳作作作。人形が嫌いなヒトだとホらー映画のよウにも楽しめると思。思オモおおおおおおお
「無視するな」