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罪の天使たちのJeffreyのレビュー・感想・評価

罪の天使たち(1943年製作の映画)
3.0
「罪の天使たち」

冒頭、ここはドミニコ会の修道院。鐘の音が鳴る。修道女の祈り、慈悲、ブルジョワのマリー、元受刑者のテレーズ 、銃殺、反抗、朗読、罰。今、2人の女の葛藤が描かれる…本作はロベールブレッソン監督が1943年に監督した長編デビュー作で、この度DVDにて再鑑賞したが面白い。と言っても彼は中期から後期の作品が凄すぎて、比べるとやや普通と言う感覚にはなってしまう…もののやはり作家性野の目覚めはこの時から感じれる、そんな一本である。本作は後に「ラルジャン」や「スリ」、「白夜」などの傑作を世に生み出す彼の伝説的なデビュー作である。

本作は短編映画「公共問題」で監督デビューを果たした彼がドイツ軍の捕虜となってからパリに戻って制作した最初の映画であり、原案と脚本はブレッソンとなっておるが、1867年にドミニコ会士のラシャスト神父が創設したベタニー修道会に言及したルロン神父の"脱獄のドミニコ修道女"と言う書物から着想を得ているとのことである。その書物をブレッソンに進めたブリュックブルジェ神父が映画の宗教顧問となり、ジロドゥーが台詞を担当したそうだ。ナチスドイツ占領下における映画製作は厳しい検閲があったが、なんとな映画化ができ、

さて、物語はブルジョアの娘アンヌ・マリーは修道女になるため自らドミニコ会の修道院に入る。そこは刑務所で服役を終えた女性たちを多く受け入れていた。やがてマリーは若い反抗的なテレーズと言う受刑者と出会う。彼女に関心を持ったマリーは出所したら修道院に来るよう彼女を誘う。マリーはテレーズに愛情を注ぎ、テレーズはマリーを拒絶する2人の関係、修道女たちの葛藤や憎しみ、友愛を描く。

本作は冒頭に修道院が映し出され、教会の鐘が鳴り響く。そして1人の修道女がマリアと言い各部屋を回る。すると鐘の音は止まり、1人の院長らしき女性が電話をする。カットは変わり、続々と修道女が廊下を歩く描写へと変わる。そして部屋に集まり、何やら作戦会議をしているようだ。カットは修道院の外へ変わる。鐘を鳴らしていた修道女が去る姿、祈りを歌い、夜の車の描写へ移り変わる。車から降りてきた複数の修道女、目的地であると刑務所へやってくる。そこで出所許可証を手に持った1人の女性が彼女らに連れられ修道院にやってくる…と簡単にオープニングを説明するとこんな感じで、日本では製作から67年経った2010年にアテネ・フランス文化センターにて初上映されたそうだ。
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