ほーりー

殺人の追憶のほーりーのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
4.1
アメリカで最大の未解決事件のひとつとされていた“黄金州の殺人鬼”が、30年の時を経て、ついに犯人が捕まったそうな。

この事件だけにかかわらず、いまだ未解決の殺人事件は世界中にまだまだ多い。

本作「殺人の追憶」は、80年代の韓国で実際に発生した連続殺人事件をベースにしたサスペンス映画で、モデルになったレイプ殺人事件は未解決のまま、既に時効が過ぎている。

韓国のある農村で、若い女が次々とレイプされた上で殺害される事件が発生する。
死体はいずれも被害者で身に付けていた下着で縛られた上で絞殺されているというムゴイ状況だった。

その頃の地方警察は強引な捜査が当たり前だった時代。
ソン・ガンホ扮する刑事は不審人物を捕まえては拷問して自供を強要するものの、犯人は嘲笑うかのようにまた犯行を繰り返し、捜査は振り出しに戻る始末。

ソウルから優秀な若手刑事キム・サンギョンが赴任し、事件捜査をはじめる。

やがて、事件の日にはいずれも雨であり、必ず地元ラジオ局に謎の人物から「憂鬱な手紙」という曲がリクエストされていたことがわかる。

……連続レイプ殺人を扱った作品だけあって、ストーリーは生々しいが、たたみかけるような演出で、最後まで引き込まれてしまった。

最初はすぐにカッときやすい性格のソン・ガンホが事件を通じて段々と冷静になっていく反面、それまで冷静沈着だったキム・サンギョンが終盤になると我を忘れて容疑者を殺そうとするなど、主人公たちの心境が最初と最後でガラッと変わる点が面白く、登場人物たちの対比する描き方に巧いなぁと感心してしまう。

またこの映画、脇役の役者陣が良い。

容疑者として知的障害者や変質者がしょっぴかれるが、彼らの顔がキョーレツで、よくこういう役者さんを揃えたと思う。

この容疑者たちを刑事たちが拷問するのだが、殴るとか締め上げるとかじゃなくて、飛び蹴りするというのが凄まじい。

でも何と言ってもラストの一面の麦畑のシーン、景色は何とも長閑なのだが、思わず背中がゾクッとするようなオチが心に残る。

■映画DATA==========================
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ/シム・ソンボ
製作:チャ・スンジェ/ノ・ジョンユン
音楽:岩代太郎
撮影:キム・ヒョング
公開:2003年5月2日(米)/2004年3月27日(日)
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