韓国の農村地帯を舞台に、実際に起きた
連続強姦殺人事件をベースにしたサスペンス。
全編通して暗い色調で空気が重い。胃の中に鉛のような物を入れられた気分。
地元のパク刑事とソウルからやって来たソ刑事がタッグを組んで犯人を追い続ける。現場検証や目撃情報など、わずかな手がかりを元に犯人を探し、ようやく捕まえた容疑者はシロで振り出しに戻る捜査。
遠くにぼんやりと人影が見えて、走ってそこまで行くと人影が消えて、また遠くに人影がぼんやり浮かぶような感じだった。
暗闇で女性を襲い強姦して絞殺する残虐な事件の犯人は捕まらないまま、また一人被害者が出る。
雨の日、ラジオのリクエスト、女性の服装など共通点を見つけるが、犯人像はまったく見えない。
届きそうで届かなかった物をようやく掴み、握りしめた手を広げると、するすると指の間からこぼれて消える砂のようだった。
「未解決」の事件を描いているから、そもそも犯人に辿り着くゴールはない。犯人が分からなければスッキリしないし、モヤモヤした気分で後味が悪い。
だけど、刑事や容疑者たちの性格や特徴が、細部まで丁寧に描かれていて、人物描写がリアル。事件解決という着地点はないが、犯人を追い続ける緊迫感、焦燥感、虚無感がひしひしと伝わって最後まで目が離せなかった。監督の演出力が素晴らしい。
未解決だからこそ、忘れられないラストシーンになった。少女の言葉がやりきれない。