いの

殺人の追憶のいののレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
4.5


初観賞。ポン・ジュノは、土着パワーが半端ない。土着パワーと私は書いてみたけど、土着パワーで、ガンガンなぎ倒していく感じが壮絶だ。この土着パワーは、宮崎駿の物の怪と繋がっているように感じたり、どろろと繋がっているようにも感じたり。でも、異界のものよりもニンゲンの方が怖ろしい。むしろこれがニンゲンの仕業じゃなくて、異界のものの仕業だったらどんなに良いかと思うくらい。土着の功罪・善し悪し・全部ひっくるめて、なんかもう・・・。それがかえって、もの悲しさや、抵抗しようにも抵抗しようもない苦しさや、人間が犯したことだけどその不条理さを受け入れがたく受け入れてしまうやるせなさとか、観終わって言葉を失う。決め画というのか、そういうのも至るところにあって(農村の風景ですら格別だ)、そして決め色というのか、フィルムの色が凄いなぁというのもバシバシあって、土着のドヤ顔が、土着を突き詰めたら実は最先端をいっているようにも思えるマジック。何を言っているのか自分でもようわからんけどw、言葉を失いながら勢いだけでもお伝えできればコレ幸いに存ずる。ポン・ジュノは、やっぱり怒ってるんですね。行き場のない怒りとやるせなさ。


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よく行く映画館で、めっちゃ人気作品をリバイバル上映してくれるという企画があって、へー、めっちゃ人気作品なんだぁと思って「チェイサー」を観たことがある。全然内容を知らずに。そんで、「チェイサー」がトラウマ映画となった。あまりに怖くて、行きたいわけでもなかったトイレにあえて行って、これは映画なんだと自分に何度も言い聞かせて、座席に戻った。以来、怖そうな韓国映画には手を出せなくなった。フィルマ始めて、少しずつ慣れてきて、ようやくこの怖そうなタイトルを持つ今作を観ることができた。もっと早く観ることができたら良かったけど、でも、今、観ることができて良かった笑(絶えず前向きw)映画館だったら、心底怖くなったかも。最後のあの、2人のうちのどっち選ぶかなんて、もう怖ろしいほどの恐怖。映画館じゃなくて(私にとっては)良かった、と思うことにしよう。
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