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マンデラの名もなき看守のRockoのレビュー・感想・評価

マンデラの名もなき看守(2007年製作の映画)
3.7
南アフリカ共和国で行われていた人種隔離政策アパルトヘイト体制の下で逮捕されたネルソン・マンデラと白人の刑務官のお話。

人種差別の重い描写がガンガン出てくるかと覚悟して挑んだら、幾つか辛い場面はあったものの心配した程では無く、このテーマにしては見易い作品でした。

マンデラは歴史上の有名人物故に展開がわかっている上でどう描かれるのかと期待していたら、ずっと看守側の目線で話が進んで行き、作品内ではマンデラのカリスマ性は殆ど伝わって来ません。
名言や人間性もサラっと流し淡々と進んで行く。マンデラ役デニス・ヘイスバートの優しそうな演技がジワります。

元々の原作が看守の手記とのことなので、全て看守目線な作品なのですが、マンデラと看守の関係を感動を誘う安っぽい友情ドラマな描き方で無く、程よい距離感で見せてくれます。
デンマークの監督だからでしょうか、私はこの淡々とした進み方が好みでした。

主となる2人の関係と共に看守を取り巻く環境と時代背景も詳しく描かれていてダイアン・クルーガー演じる奥さんのコミュニティが興味深い。これまた顔だけじゃなく服装や髪型も可愛いのよ。
こういった人間関係や当時の主婦の感情が映画にすると非常にわかりやすく、アパルトヘイト時代の白人の家庭を覗き見できた感じでしたね。

無知と偏見がいかに恐ろしいかと共に人間の愚かさと強さを同時に感じられる作品でした。

2020年5作目
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