Hagieen

恋する惑星のHagieenのレビュー・感想・評価

恋する惑星(1994年製作の映画)
3.7
ウォン・カーワイ監督、フェイ・ウォン、トニー・レオン、金城武、ブリジット・リン主演。

香港の若者たちの2つの恋愛模様を前衛的スタイリッシュに描く。

公開された当時、その作風は衝撃的だった。香港映画といえばジャッキー・チェンやホイ三兄弟などのコミカルかチョウ・ユンファの男たちの挽歌のようなガン・アクションのイメージが強かったが、本作のアート感が強くオシャレな感じは日本人がそれまで抱いていた香港映画のイメージを覆した。さらには無名ながら金城武のイケメンぶりも話題となり女性客を取り込めた。
ウォン・カーワイ作品は独白やイメージショットが多く、詩的で難解な作品が多い。またそれに加えクリストファー・ドイルのハンディ・カムによる自由なカメラワークが前衛的でスタイリッシュでカッコいい。
そこにフェイ・ウォンが歌うクランベリーズをカバーした主題歌「夢中人」はフェイの歌声も相まってオリジナルを越える魅力があり、オシャレ感を爆上げしている。
原題の「重慶森林」を「恋する惑星」という邦題をつけた人のセンスにも脱帽。フェイ・ウォンの主題歌と「恋する惑星」というタイトルのイメージが奇跡のマッチングでマーケティング的に効果があったかと思う。

追記レビュー
4K化とWKW祭りという事、香港映画見ようね会完結編との事で緊急追加寄稿。
まだ4K見れていないのですが、これだけ時がたっていてもWKW祭りが開催されるというのは感慨深い。
自分が知る限りではウォン・カーワイの名前が日本で知られるきっかけは本作からだったと思う。
今回の4K化の予告を観たが、映像は滅茶苦茶綺麗になっている。
だがチョット地味な感じで。
実は日本での「恋する惑星」のヒットの要因は、上記に挙げたフェイ・ウォンの「夢中人」と邦題の効果、さらには日本版劇場予告が大きいと見ている。
「夢中人」の疾走感、予告内でのキャッチも秀逸で片岡義男かってくらいの青春感!
疾走するシーンと少し切ないキャッチが色々とイメージを喚起させて、最高の予告編になっている。
青春とは「疾走」と「せつなさ」、この予告の出来が日本での動員の一因だとも思っている。なので本編以上に日本版予告の4K化もお願いしたいところだ。
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