返還直前の香港。中国と欧州とインドが混ざり人々が身体をぶつけ折り曲げながら往き来する混沌。ジットリとまとわりつくモンスーンアジアの湿度。ビルをかすめて離着陸する飛行機。迫る中国政府による統治を警戒して活発化した海外移住のメタファーとしての「カリフォルニア」…。
当時の空気感を切り取ったオシャレな映像は、スノッブな大学生だった当時の自分にどハマり。
確かに、ストーリーやプロットは冷静に考えれば、サイコパスでストーカーでホラーなんだろうけど(個人的に、どの登場人物も苦手なタイプだ)例えば『巨人の星』を、児童虐待やDVモノとしたり、『アメリ』をストーカーものとしてしまうと話が成り立たないのと同じで、無理な人には無理な話になるんだろうな。
相変わらず、ウォン・カーウァイ監督とは女性の好みが完全に一致するのを改めて確認したのと、普通の男がやると顰蹙と嘲笑の集中放火を浴びるであろう「裸の大将」スタイルも、艶気ダダ漏れのトニー・レオン様がやるとカッコいいからつらい。