Benito

恋する惑星のBenitoのレビュー・感想・評価

恋する惑星(1994年製作の映画)
4.2
【 トニー・レオンとドイルのカメラ 】

映画全体の持つ雰囲気がいい。
狭い路地、窮屈に建つ重慶マンション、そして香港の醸し出す空気。高い湿度感。

ウォン・カーウァイ(王家衛)の「花様年華」や「ブエノスアイレス」など、彼の作品の多くの撮影担当だったクリストファー・ドイルが本作でも後半エピソードを担当している。ライティングやフォーカシング、そして色の使い方はコンビ2作目で既に確立されていたのだと思う。そしてトニー・レオンの部屋、これもドイルの部屋をそのまま使っているというオマケつき。カメラだけでなく、音楽の使い方含め、圧倒的に後半部分がいいな、と思う。

そして役者たち。前半エピソードの金城武はドラマ「神様、もう少しだけ」や映画「不夜城」などで日本でブレイクする前の頃。後半エピソードの警察官トニー・レオンは映画「インファナル・アフェア」シリーズの前の頃。飲食店スタッフのフェイ・ウォンは本業は歌手として20枚くらいアルバムを出しているけど日本のドラマ「ウソコイ」で中井貴一と共演してたっけ。

<サウンドトラック> 全11曲_CD
1曲目のフェイ・ウォンの'夢中人'は、アイルランドのロックバンド、クランベリーズのヒット曲「ドリームス」のカバー。あと前半パートのスコアには「ニキータ」のエリック・セラ風の曲が展開されてた。因みにCDには映画で多用された' 夢のカリフォルニア' by ママス&パパスは収録されていないし、' 緑は異なもの' by ダイナ・ワシントンのjazzナンバーなど映画のキーとなる楽曲は入っていない。

<劇場公開時パンフレット>
1995年7月15日発行・800円
44ページのなかに、シナリオ完全採録や王家衛とタランティーノの対談、更には役者や音楽について細かく掲載されていて充実した内容。

鑑賞は、公開時と26年後の2回。
Benito

Benito