このレビューはネタバレを含みます
名画をポンコツ風に語ろうシリーズ。
まずいきなり人が死ぬ。若者なんだけどどう見ても死んでいるように見えず、「ああ死んでいるのか」。そしてその若者をいい女が「連れて行くのよ!」なぜそんなことを言われるのかわからないまま主人公は連れていく。
連れていった先には鏡の向こうの世界。ああトワイライトゾーン感覚か。無駄に驚かない主人公オルフェ。
いい女はじつは死神だった。もはや古典落語の域。「だれにも言ってはダメ」ぶんぶんとうなずく主人公オルフェ。よかった助かった~。
なぜか助かった主人公が寝ていると死神が立っている(牡丹燈篭か!)。起きるといない。また立つ。起きるといない。さらにはオルフェの行先に必ず現れる死神。彼女の目的は??
「実はあなたが好きなのよ」そうなのかーい!あまりの陳腐な理由に椅子からずり落ちる。なぜかキスまでする二人。ダメダメダメダメ。冥府魔道の女と付き合ってはダメですよ(コープス・ブライドやん)。
まあその一方でオルフェには嫁がいるのだけど交通事故で死んでしまう(いやこの死に方も自転車ころころだけです)。妻は死神のもとへ。助けに行くオルフェ。例のごとく鏡の世界へ。1950年代のSFXが見れて楽しい。実際言ってみると死神がいる。「助けてあげるけどあなたは奥さんの顔を見ちゃダメよ」無茶ブリである。なのに良かったと言ってニコニコする奥さん、そして死神の部下(小手伸也じゃん)。無事オルフェと妻は現実世界へ。
ダメだ見るなよ見るなよコントが繰り広げられる(ダチョウか!)。奥さんはなぜか太平楽で「大丈夫よ~」と主人公に後ろから抱き着く。どうやっても見えてしまうんじゃないの。案の定車のバックミラーに顔が映ってしまう奥さん。哀れ奥さんは無事死神の元へ。
小手伸也に文句を言うオルフェ。助けたいんだ!じゃあしょうがない、また死神のもとに行こう!ここでも鏡を通過したり重力がおかしくなっているところを通るというドリフコント。死神に会うとまた熱烈なキッス!お前~奥さんと死神どっちなんだと突っ込む。
そして最後は死んだと見せかけてからの(顔芸が見事!)奥さん、オルフェめでたしめでたし。冥府魔道でくすん、死神。なんだこれ。
鏡の中に入ったり、逆モーションで人間が起き上がったりと「当時」としては楽しめるけど今は「当時を楽しむリテラシー」で見る映画です。あ、嫌いじゃないです。でも難しいことは言わないよ!