けー

オルフェのけーのネタバレレビュー・内容・結末

オルフェ(1950年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

1950年の映画ですよ。
ジャン・コクトー監督脚本の映画ってなんだかすごく不思議な感じです。
気持ち的には平賀源内監督脚本の映画がアマプラで見られると言われたような感覚とでもいうんでしょうか。

相当見辛いに違いないと覚悟していたんですが、ところがどっこいなんだか画面が普通に滑らかに動いているー......。

1950年って自分が見た中で一番古い映画だと思い込んでいましたが、「駅馬車」が一番古かったですよ。

1939年ですって...。

1939年って世界大戦の前?後?とかって思って検索したら、第二次世界大戦が始まった年でした。



えーーーーー。



世界大戦が終わったのが1945年。

駅馬車が上映されてその後7年間の間に世界はどえらいことになっていたんですねぇ。

なんかそこまで事態がとんでもなく悪化することがあるんだという事実に改めて震撼としてしまいます。

日本では1939年に7月に国民徴用令が交付されてますよ。

「駅馬車」が日本で公開されたのは1940年だそうですが、翌年の1941年の12月に真珠湾攻撃があったって思うと、当時の映画ファンというか洋画ファンの人たちの心中を思うともうなんだか......。



話がそれました。



「オルフェ」、色々ビックリしました。

「テネット」が「オルフェ」にインスパイアされているという記事はいくつか読んだことはあったんですが、「テネット」はとりあえず置いておくとしても時間逆行や過去を変えてその時間軸は存在しないことにしてしまおうとか泣けるタイムトラベルものエッセンスが既にここに。

人の話をききやしねぇオルフェは、命やら超常現象やら警察やらもういろんな大変な要素が絡んできてとんでもない状況下で「妻」か「姫」のどっちに会いたいと問われても「どっちも!」とか「やっぱ姫!」とか。

もうこんなヤツ助けなくていいじゃんセルジェーって。

セルジェがなんかすごく気の毒だったんですが。

あと無駄に殺された感がすごい18歳のポエマーくん。

あの後、どうなるんだろう。

オルフェが妻のことを目に映さないように必死で頑張るセルジェの涙ぐましいまでのあの努力がまたもう....面白すぎて。

つい「テネット」のノリでセルジェはひょっとして生まれてくる子供なのか?とも思ったけれどもそういうことではなさそうで。

時間を逆行したり、異世界に入り込んだりというシーンをCGなしで映像化して見せたのが本当にすごいなと。

よく思いついたなという以上に、よくやってみようという勇気が出たなと。

しっかりSFというか別世界や異世界の彷徨い込んだ気分を味合わせてくれたのがすごい。 1950年でこれだけ動きのある画面作りができるのに、なぜ「スタートレック」のあの映画はあそこまで画面が動かなかったのか....(←相当なトラウマになっているらしい)

「オルフェ」を見ながらついつい問いただしたい気持ちでいっぱいになりました。

いや面白かったです。



「古い時代に作られた映画」=「見るのが苦行、睡魔とのすさまじ戦い」ということにならないんだなぁと改めて学びました。
けー

けー