Moeka

オルフェのMoekaのレビュー・感想・評価

オルフェ(1950年製作の映画)
3.8
ギリシャ神話オルフェウスを基にコクトーが映画化。主人公オルフェが冥界に出向くが神話と異なり彼が愛するのは死の女神のほう。キリコの絵画のような回廊をくぐり抜け死の影を探すところが特にお気に入り、耽美で幻惑的な世界観はコクトーならでは。オルフェを演じたのはコクトーの愛人ジャン・マレー。鏡にキスをするところは”白書”にもナルシシズムの描写があったがそこからか?しかし本作では死への口づけのようにも思える。鏡が冥界への入り口となっていて、ジャン・マレーは自伝で鏡の裏側にいきコクトーにあえたらと語っているのだがヒース・レジャーのDr.パルナサスの鏡を想起せずにはいられない。彼が映画で最後に見せたのは鏡の中に入る前なのだから...加えてレジャーも長年男性を愛する役を”ブロークバック・マウンテン”で演じている。コクトーとマレー、レジャーのこの奇妙な共通点は偶然か果たして。
Moeka

Moeka