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春琴抄のRiNのレビュー・感想・評価

春琴抄(1976年製作の映画)
3.4
耽美派の巨匠、あるいは変態おじさんこと谷崎潤一郎の傑作「春琴抄」の映画化、キャストは山口百恵×三浦友和。お二人の馴れ初めのうちの一本ともなった今作、善良なお二人ですから原作に比べればその変態具合は少々手ぬるいですが、絵面の美しさはまさに耽美でした。
原作の春琴はもう少しエキセントリックで世間知らずの暴君ですし、佐助は盲目的な従僕でありマゾヒズムの象徴でした。でもそれをまさか天下のアイドルにやらせるわけにもいかないし、まずい描写は省いて綺麗にまとめてはいましたが、97分と見やすく良かったです。
盲目の美女であり気難しい琴の名手と従順で目元の涼しい奉公人、設定だけでまあ耽美。つんと白い手を引いてゆったりと梅の下を歩くその姿だけで、この映画は成功でしょう。
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