ジミーT

スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望のジミーTのレビュー・感想・評価

5.0
「スター・ウォーズ」をまた観てみたい。「エピソード4/新たなる希望」という副題がなく、CGなどで付け加えられたシーンもない、「スター・ウォーズ・サガ」に組み込まれる前、あの1978年7月に日本公開された「スター・ウォーズ」(以下「78年版」)を観てみたいです。

郷愁もあるかもしれません。最初に観たのが78年版だったから第一印象に縛られているだけかもしれません。しかし「78年版」はその後のスター・ウォーズ・サガとは別物だと思うのです。「78年版」は「宇宙戦争映画」ではなく、ましてや「サガ」でもありませんでした。それは「宇宙戦争ごっこ映画」だったんです。

「78年版」の前にジョージ・ルーカスが作った映画は1973年「アメリカン・グラフィティ」(日本公開74年)でした。これは製作年から約10年前の1962年に18歳くらいだった登場人物たちを描いた青春回顧映画でした。ルーカスの自伝的な部分も多分に入っていたと思いますが、それを当時のアメリカ人に共感できそうな形に分解して再構成したのでしょう。だからこその大ヒットでした。
気をよくした(かどうかわかりませんが)ルーカスは今度はさらに若い、多分10歳くらいだった少年期を回顧する映画を作った。それも自伝的なものではなく、その時の「想い」を回顧する映画を。それが最初の「スター・ウォーズ」=「78年版」だったように思えてなりません。描かれていたのは「宇宙戦争ごっこ」であり、レイア姫は男の子と一緒になって遊ぶ女の子であり、最後の勲章授与式は少年時代への勲章授与式だったんです。

「アメリカン・グラフィティ」のアメリカでの惹句は「1962年、あなたはどこにいましたか。」だったそうです。「スター・ウォーズ」ではもっとハッキリ、映画の中で最初に言っています。「遠い昔、銀河の彼方で…。」
最初に観た時、この一言はルーカスが「この映画は『アメリカン・グラフィティ』の続編です。遠い遠い昔の少年期。そのグラフィティですよ。」と言っているように思えて、なりませんでした。

その後「78年版」は「エピソード4/新たなる希望」という副題がつけられ、CGで新たなシーンも付け加えられて「スター・ウォーズ・サガ」に組み込まれました。少年期の「想い」は本当に銀河の彼方に消えてゆきました…。寂しいけれど仕方ないでしょう。
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