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スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望のMOCOのレビュー・感想・評価

5.0
「ルークよ『理力(フォース)』を使うのだ。」


 1978年のある日、封切り間もないこの映画を一人映画館で観ました。1980年代のシネマコンプレックス導入前の映画館は、宇宙空間の様に広く、見上げるほど巨大なスクリーンで観る映画は異次元の世界で宇宙空間に展開する「スターウォーズ」はうってつけでした。

 プロローグの後レイヤ姫の乗る船を追うスター・デストロイヤーが頭上をかすめて行くシーンの固定カメラのアングルは斬新で圧倒されました。巨大スクリーンならではの迫力でした。その最初の公開時フォースは『理力』という漢字が当てられ、フォースとルビが振られていたのです。素晴らしい語学センスでした。
 『理力』って何?家に帰ってから辞書を引いたのですが辞書には載っていない言葉でした。

 今回あらためて、1978年劇場公開版を観ました。
 1997年の特別編公開時の大幅なデジタル加工で内容修正される前の「スターウォーズ エピソード4」は、二重撮影の処理が悪く、デス・スターとの最終決戦に挑むXウイングは数えるほどしか画面に登場させることが出来ておらず、ルーカスが想い描く処理をする資金と時間がなかったことがよく分かります。

 デス・スターの戦いでベイダー卿が弾き出されたシーンは、当時友達の間で「続編があるんじゃない」って話題になりましたが、まさか9つのエピソードになるとは思ってもみませんでした。
 ルークとソロがレイア姫から勲章を授与されるシーンでは「勲章がないチューバッカがかわいそう」「これは差別だ」と盛り上がったものです。
 この映画でルーカスは少年時代に映画を楽しませてくれたアレック・ギネスとピーター・カッシングを出演させ、後にエピソード2・3でクリストファー・リーを出演させています。そういう映画ファンの心をくすぐる上手い起用を傍らでするところもスピルバーグ監督の上手さです。

 そういえば初回のTV放送の吹替えはアイドルの大場久美子さんでしたが、ひどく下手くそでした。

 それにしてもシリーズ完結までの期間が長過ぎです。これでは完結を待たずして亡くなられた方も少なくないのではと・・・。
 ルーカスが手掛けた6つの作品も、結局エピソード4だけで十分でした。優しく考えても最初に発表された4 ・5・ 6はキャラクターも立っていて、宇宙・冒険・活劇・恋愛・お姫様・宇宙人・ロボット・怪獣・戦争・正義・悪の化身・・と、てんこ盛りの大人の童話だったのですが、エピソード1 ・2 ・3は、ルーカスフィルムの技術力を見せつけるだけの映画だった気がします。エピソード2は「ゴールデンラズベリー賞最低作品賞」なる不名誉なノミネートまでされてしまいました。

 体力の限界を理由にエピソード7 ・8 ・9を放棄したのは大正解。ディズニーに任せた作品は、まだ観ごたえがあります。立っているキャラクターが新キャラではないところが受け入れやすく、良かったのかもしれません。

 スターウォーズの産みの親も歳をとり、衰えてしまうのはしょうがないのですが、2005年のエピソード3以降は監督として映画にかかわっていません。私はルーカスの新な凄い映画を観たい。

「ルーカスよ『理力』を使うのだ!
 尊敬する黒澤明は83才まで撮り続けた!
 さあ、もう一度誰もが夢中になる映画を創るのだ!

 ルーカスよ『理力』と共に在らんことを!」
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