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人生、ここにあり!のHKのレビュー・感想・評価

人生、ここにあり!(2008年製作の映画)
3.9
Clipしたままだった本作がU-NEXTで配信終了となるため鑑賞。
こんなタイトルじゃfilmaの皆さん情報が無ければ観ないので、まずは皆さまに感謝。
イタリアではバザリア法(1978年)により精神病院が廃止されている事実も初めて知りました。

本作は同法施行後の1983年が舞台、精神病院の元患者たちによる協同組合の事業の成り立ちが描かれます。
まあ多少の脚色はあるとしても、実話ベースでなければにわかには信じ難い展開もあり、イタリアならではのお国柄と、国は変われど人間は同じだという両方が伝わってきます。

個人的に興味深かったのは投薬治療の件。
患者には、常にある種の精神安定剤と称する薬が投与されますが、そのために動作も思考も緩慢になってしまいます。
あの特有の立ち居振る舞いは本人だけでなく、管理のしやすさを優先した投薬のせいでもあったわけです。

重度の腰痛持ちで、痛み止めの副作用で仕事に集中できないことが多々ある私としては、妙なところで共感してしまいました。
頭や体が思ったように働いてくれないのは誰にとっても辛いことです。

実際は精神病患者といっても症状は千差万別でしょうし、本作で描かれたよりももっと深刻で複雑な状況が多々あったであろうことは想像がつきます。
しかし、まずはとっつきやすいコメディタッチの映画でこのことを広く知らしめたことに本作の大きな意義があると思います。
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