T太郎

人生、ここにあり!のT太郎のレビュー・感想・評価

人生、ここにあり!(2008年製作の映画)
4.1
805
イタリア映画だ。
素晴らしい作品だ。
とても良かった。

実話を基にした物語らしい。

80年代、イタリアは精神病院を廃止し、患者たちは強制的に退院させられた。
家族の元に帰ったり、様々な雇用組合などに引き取られたりしたのだそうだ。

そんな組合の一つがこの物語の舞台だ。

主人公は労働組合員のネッロという男だ。
色々あって彼は、くだんの組合のマネージャーに就任する事になるのだが、意外や彼は非常に熱血漢だったのだ。

彼が組合で出会った患者たちは、簡単な作業のみに従事し、過剰な投薬により緩慢な動作しかできない、生きた屍のような状態だった。

ネッロはまず、彼らを普通の人間として遇するから始めた。
彼らの言う事を流したり否定したりせず、全てを肯定して認めてあげるのだ。

そして、彼らに責任ある仕事をさせ、正当な報酬を受けさせようと奔走するのである。

つまり、患者たちを一人立ちさせ、ゆくゆくは他の患者たちも救いたいというのが、ネッロの思惑なのだ。

以上のあらすじだけを見ると、説教臭い、暑苦しい物語だと思うかもしれない。

しかし、そんな心配はご無用。
基本的にこの作品はコメディなのだ。
みんな大好き下ネタも満載だ。

非常にデリケートな問題をはらんでいるので、笑っていいものかどうか悩むが、これは素直に笑う方が正解なのだと思う。

大いに笑っていただきたい。

ただ、終盤に重い展開が待っているので、そこは要注意である。

まあ、いい映画だ。
そして、いい場面のオンパレードだ。

組合員の患者たちのキャラクターがまた素晴らしい。
実に個性豊かで愛すべき人々なのだ。
彼らが作り出す名場面の数々を是非ともご堪能あれ。

「やればできる!」
T太郎

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