このレビューはネタバレを含みます
貧困家庭の少年ペドロと不良少年ハイボを中心とした貧困と犯罪のお話。緒言のあとに教育局が絡んだクレジットがありましたが、こんなラストでいいのか…。
少年同士の連帯感などは殆ど描かれず、どちらかというと母からネグレクトされるペドロの構図が中心。感化院の院長や母の言葉に、問題点を凝縮させる様子が素晴らしかったです。
数々のシーンはベタでしたが、問題自体の普遍性に加えて展開も上手いせいか、それを感じさせない。映像もかなり芸術性が高いのに観ている間にはそれも感じさせない。凄い構成でした。ペドロの夢とハイボの死のシーンは圧巻でした。
また、演技は今一つでしたが配役は素晴らしかったです。一人ひとりの佇まいが強烈に役とマッチしていました。
道を踏み外すのは何ゆえか、そして道に戻ることが妨げられるのは何ゆえか、不幸の連鎖からは逃れられないのか、という通時代的な課題について、悲劇的な結末を通してなお肯定的な可能性を描き出していた傑作でした。