みんと

忘れられた人々のみんとのレビュー・感想・評価

忘れられた人々(1950年製作の映画)
4.0
ルイス・ブニュエル監督のメキシコ時代を代表する作品のひとつを鑑賞。

メキシコシティのスラム街。感化院を脱走した少年ハイボは、再び街の不良少年のボスに返り咲き、盲人への暴力や盗みと言った悪行を繰り返す。仲間のひとりペドロは嫌気がさし罪悪感に苛まれるが…

ブニュエル作品の中では宗教が絡まないせいか?比較的観やすい作品に思えた。そもそも、当時のメキシコの様子を包み隠さず描くノンフィクションのような趣すら。
ただ、僅かな希望も救いも見い出せない絶望的な作品でもあった。

社会の底辺で貧困に喘ぐ人々の生き方をドライに容赦なく、子供達が真っ直ぐに成長する事をも許さない…
イタリアのネオ・レアリズモと比較される今作に、当時のメキシコ社会の暗部がこれでもかと見て取れ、心が打ちひしがれるある意味思い切った作品に思えた。


…ラストの老人の言葉が殊更やり切れない。
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