青二歳

情婦マノンの青二歳のレビュー・感想・評価

情婦マノン(1948年製作の映画)
3.2
いきなりアメリカ行の船じゃなくてイスラエル行の船からスタート。え?どういうこと?(;゚∀゚)オペラともバレエとも違う演出…原作18世紀の騎士と美女の出会いをどう読み直すか…これをまさかの現代劇にしたんですか。48年公開、そのまま戦後が舞台?ひえ〜うそでしょ。
パリ解放前後…ナチに"性的に"協力したとリンチされるフランス女性をマノンに置き、それを助けたレジスタンスの男をデ・グリューに置いたと。さらに金に汚いゲスな兄貴を、闇市で荒稼ぎする裏社会の人間にしている。(この時点で“マノン”の世界観からぶっ飛びすぎてて中々物語に入り込めない…)

48年。既にホロコーストが映画の素材になるほどだったんですね。パリ解放の時点でナチの悪行が明らかになっているような描写がありました。デ・グリューが殺人を犯したあとの逃避行がユダヤ人に同情を寄せる船長のイスラエル行きの密航船という。うーん、そこを"マノン"に絡ませるかあ〜(-ω-;)
沼地のパドドゥ…じゃない、破滅のシーンはどうなるの?と思ったら…そこもユダヤ人の受難とからめるのか…何故だかは分からないけれど、親ユダヤ作品になっているようです。

まぁ現代劇に置き換えたのはいいのかも知らんが…うーん…マノンはオペラだと本当に贅沢の似合う美女って感じで、バレエのマノンはとにかく考えなしですごく可愛くて、デグリューが離れられない気持ちがよくわかるし、破滅に向かうくだりの痛ましさもよいんですよね。この映画以外の様々なマノンのキャラクターを色々考えると…やっぱりマノンを現代劇に置くのはムリがあるんでないかと。ただのダメなクズ女になってまう…
青二歳

青二歳