アキラナウェイ

サウンド・オブ・ミュージックのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

5.0
原体験:その人の思想が固まる前の経験で、以後の思想形成に大きな影響を与えたもの。

自分にとっての映画の原体験はコレだった…!!

初めて観たのは、恐らく小学校1年生ぐらい。親の知り合いのお宅で観せてもらって以来の再鑑賞。面白くて画面に釘付けだった。

オーストリアのザルツブルク。お転婆な修道女見習いのマリア(ジュリー・アンドリュース)は、修道院長からトラップ大佐(クリストファー・プラマー)の子供達の家庭教師をするように勧められ、トラップ邸を訪れる。7人の子供達は大佐から軍隊の様に厳しく躾けられ、マリアにも反抗的な態度を取っていたが、彼女は子供達に歌う事の楽しさを教え、次第に打ち解けていく—— 。

マリアを演じたジュリー・アンドリュースが堪らなく魅力的。

雲を捕まえるよりも
波を砂に留めるよりも
月の光を手に収めるよりも、難しい。
周りの修道女達が手を焼く程に、マリアはやんちゃくれ。山々に囲まれた緑の大地で、両手を広げ歌う、【サウンド・オブ・ミュージック】で、既に高揚感の針は振り切れる。

トラップ大佐がクリストファー・プラマー御大だったとは…!?そりゃ当時は知る由もない。

7人の子供達がまたキュート。
ポケットにはカエル。
マリアの椅子には松ぼっくり。
悪戯三昧で、新しい家庭教師を困らせようとする子供達も、マリアとの暮らしを通して心を開いていく。

母を亡くしてから音楽が失われてしまったトラップ邸。歌い方を知らないという子供達に、マリアが音階から教える【ドレミの歌】のシーンはあまりに有名。

長女リーズルと電報配達のロルフとが、【もうすぐ17歳】を歌い、淡い恋心を募らせる。

マリアに対して頑なな姿勢を崩さなかったトラップ大佐も、次第にマリアに惹かれ、昔を懐かしむ様に【エーデルワイス】を歌い上げる。

マリアによって、歌と笑顔を取り戻していく家族の姿にこちらの頬も緩みっぱなし。

お転婆だったマリアもトラップ大佐に惹かれる恋心に戸惑い、大佐の婚約者エルザに唆され、別れも言わずに修道院に戻った時は子供ながらに寂しかったし、マリアが子供達の母親になった時は我が事の様に嬉しかった。

幸せなトラップ一家にも、戦争の影が忍び寄る。

初めは超絶楽しくて、後でどんどん怖くなる。当時の僕は、ナチスの台頭をただならぬ恐怖として記憶していた。

当時の記憶が鮮明にフラッシュバックする。

わくわくしたり、
ハラハラしたり、
映画の面白さが凝縮されている。

親衛隊に追われる一家を逃す為、
「罪を犯しました」と修道院長に
告解する修道女達の手には、
親衛隊の車のエンジンの部品の一部が。
こんなさりげないユーモアが面白い。

無駄なシーンなんてない。
完璧なミュージカル映画。
多幸感しか残らない余韻が堪らない。

原体験の記憶と相まって、僕としては大好きな作品なんだと再認識。

今まで観る機会がなかったけど、ジュリー・アンドリュースの「メリー・ポピンズ」を観てみなくっちゃ!!