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めもりいのTnTのレビュー・感想・評価

めもりい(1964年製作の映画)
3.5
昭和っぽいナレーションが面白い虫プロアニメーション。めくるめく展開の早さはアニメーションというよりむしろ漫画のページをめくるようなものに近い。

最初の男と女の出会いのやり取りが面白い。人間の滑稽さがブラックで俗っぽく時にスラップステイックなまでに描かれている。時に今見ると毒が効きすぎているようにも感じた。

最初は男の記憶の曖昧さから始まり、次第に戦争の記憶、人類の記憶とたった5分でスケールアップするテンポの良さ。最終的に人類の遺した遺物がとるに足らないものになるだろうとする滑稽なオチと最後のセリフが洒落ている。

ラストの未來の世界とクラシックの融合に「2001年宇宙の旅」ぽさを感じたが、今作品の方が公開が早いのである意味先取りしていたのかもしれない(もっとも未来観は戯画化とリアリズムと全然違うが)。キューブリックは手塚治虫に宇宙船のイメージを作ってほしいと依頼していたが、多忙を極めていた手塚はこれを断ったという。何か根底で共通するものがありそう。
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