青山祐介

老人と海の青山祐介のレビュー・感想・評価

老人と海(1958年製作の映画)
4.5

『私にかぎらず、ずいぶん多くの人…たちにとっても ―
 ヘミングウェイが神様だった時代があった』
イタロ・カルヴィーノ

私も若い頃、ヘミングウェイから多くのものを学びました。簡潔な言葉で描かれた詩的世界、人間の価値、行動主義、戦争、孤独、絶望、敗北、死、失われた世代、アメリカ、ハードボイルド、狩や魚の釣り方から闘牛の観方まで…そして「老人と海」の『人間は負けるようには造られていない』という老人のつぶやきに、生きる価値を理解したつもりになったものです。しかし、ペトロフの「老人と海」には、かっての自分はいませんでした。
アレクダンドル・ペトロフ「老人と海」1999年(第72回アカデミー賞短編アニメーション部門受賞)
それを知るために、50年振りになるでしょうか、ジョン・スタージェスの「老人と海」を再見し、ヘミングウェイの原作を読み返しました。
ペトロフの作品は「夢」なのです。サンチャゴに近い歳になると、戦いも敗北も孤独も、すべては夢なのです。
『もはや、老人の夢には、暴風雨も女も大事件…大きな魚も、戦いも、力くらべも、そして死んだ妻のことも出てこない。……老人はライオンの夢を見ていた。』
(ポスターはアメリカ映画のものとは違います。)