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キングコング対ゴジラのbackpackerのレビュー・感想・評価

キングコング対ゴジラ(1962年製作の映画)
3.0
ゴジラシリーズ第3作

【作品情報】
公開日  :1962年8月11日
作品時間 :97分
撮影   :東宝スコープ(シネマスコープ)
監督   :本多猪四郎
製作   :田中友幸
脚本   :関沢新一
音楽   :伊福部昭
特技監督 :円谷英二
出演   :高島忠夫、藤木悠、佐原健二、浜美枝、若林英子、平田昭彦、田崎潤、有島一郎、ほか

【製作舞台裏等概要】
東宝創立30周年記念作品。
前作の続編として7年のブランクを開けての公開。ゴジラシリーズ歴代1位の1255万人の観客動員を記録し、ゴジラと怪獣の対決路線が明確化。代わりに、前作までのような、怪獣の明確な死が描かれることは少なくなる。

円谷英二念願の本物のタコを使った大ダコ特撮シーンの撮影に際しては、40〜50匹のタコを生簀ごと買い取り、生簀のそばに二畳ほどのセットを作成。全く動かないタコに対して、試行錯誤を繰り返すと、目に光を当てると猛烈に動き回ることを発見し、無事撮影することができた。
なお、タコは宿泊先の旅館の板前さんが腕によりをかけて調理し、2日間タコ尽くしを振る舞われたとのこと。

本作撮影中、本田監督は断崖から滑落し大怪我。撮影現場に車椅子で通っていたという。


【作品感想】
アメリカが誇る巨大怪獣の先駆け、クラシックモンスターのキングコングと、日本が誇る破壊の権化、怒りの神ゴジラが戦うシリーズ第3作は、特撮の完成度もさることながら、経済的繁栄のために身勝手な行動をとる、人間の傲慢さがあっけらかんと描かれている良作です。
全編能天気&幸福そうなムードで進む本作が、昭和ゴジラシリーズの以降の方向性を、明確に決定づけたものと言えます。

本作は、初代キングコングの生みの親、ウィリス・H・オブライエンが企画した『キングコング対フランケンシュタイン』が、流れ流れて『キングコング対ゴジラ』になったという、ある意味訳ありの作品です。
ですが、日本のみならず、世界でも大ヒットしたので、結果オーライですね。
『フランケンシュタイン対地底怪獣』、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』、『キングコングの逆襲』と、本作が皮切りとなって製作された作品も、なかなかのラインナップというのがまた凄い。

円谷特技監督入魂の"タコ"特撮の見応え。
両国への配慮の結果の、曖昧な引き分けエンド。
『ゴジラ対メガゴジラ』でも使われることになる〈帯電体質無双〉。
その他、どれをとっても、なんとも味わい深いものがあります。

4Kレストア版が公開される程の人気作、流石の出来栄えでございました。
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