Kuuta

キングコング対ゴジラのKuutaのレビュー・感想・評価

キングコング対ゴジラ(1962年製作の映画)
3.5
「大ゴジラまつり」開催中の新文芸坐にて、怪獣総進撃と二本立て鑑賞。平日昼間だが結構混んでいた。

2作目から約7年空いた、1962年公開のシリーズ3作目。東宝の創立30周年記念作でもある。

改めて、ちゃんとしたコメディ映画という印象。4Kリマスター版をスクリーンで見られて本当に良かった。

導入部が鮮やか。不気味なコングのテーマにいきなりガツンと持ってかれる。パシフィック製薬がセントラル製薬に勝とうとキングコングを使った宣伝を画策する。野球に絡めた小ネタも面白い。多古部長(有島一郎)の表情が全編コミカルで良かった。「損害の責任を取る」とした以上、パシフィック製薬は潰れてしまうのだろう。

気合の入った巨大タコの特撮。「本物のタコじゃねえか!」に笑った。島民からするとタコはあくまでモンスターであり、キングコングは神。この描写の違いにもキングコングへのリスペクトが感じられる。荒ぶる神を眠らせる。コングを糸で吊り上げる場面はシュールさと不気味さが同居していた。冒頭のドラムや、ワイヤーがちゃんと伏線になっている。

怪獣と人間、北極のゴジラとの南の島のキングコング、ビジネスマンな兄と恋人思いの義弟。対比を意識した脚本は総じて丁寧に感じた。ちょっと中盤眠くなったが…。

潜水艦の炎上や波の起き方。細かな特撮にもこだわりが伝わる。平田昭彦の博士の役立たずっぷりも笑える。最後のセリフの取ってつけた感が凄かった。

中島春雄演じるゴジラは、この世紀の対決に気合いの入ったプロレスラーという感じ。下半身のドッシリした造形がバシッと決まっている。広瀬正一のキングコングは顔がかなり不細工なのがどうしても気になった。

光と炎の入り混じる決戦は、どこか間抜けなのに見る方も力が入る。口に突っ込まれた木をただ吐き出すのではなく、木ごと熱線で燃やすというギミックに心打たれた。

「ゴジラ」→「ゴジラの逆襲」→「キングコング対ゴジラ」とエンタメ路線にシフトしていったのがよく分かる。プロレスを積極的に楽しみ、売り物にしようとする多古部長自体が今作の在り方を象徴している。現実にバヤリースやワイヤーのメーカーとのタイアップを付けながら、商業主義を題材としたブラックコメディに仕立てる皮肉。オチが歴史的な建物ではなく、観光客向けに作られた熱海城の崩壊なのもよく考えられている。71点。