とうふくん

キングコング対ゴジラのとうふくんのレビュー・感想・評価

キングコング対ゴジラ(1962年製作の映画)
3.3
世紀の対決、キングコングvsゴジラとなればワクワクしない手はない。いわんや当時の観客の興奮度をや。

怪獣プロレス映画なので、あまりシリアスになり過ぎるのもなあと思ってはいたが、まさかここまでギャグ強めだとは思わなかった。人間ドラマは全体的にコメディ調で正直そんなに面白くないし、特にラジオや煙草を渡して大喜びするくだりはなかなか酷い。キングコングの住むファロ島の島民達がいずれも判で押したようなステレオタイプの南方原住民だが、演じているのは全員日本人。流石昭和日本、ホワイトウォッシングなんて目じゃないぜ。でもそれじゃまるでアダモちゃんだよ。

原住民の交流もそうだが、本作はとにかく頭のネジと倫理観がすっ飛んでる人物が多い。特にパシフィック製薬のタコ部長は終始イかれた言動が目立つ。ゴジラによって失われたであろう人命や被害よりも視聴率、自分の命よりもキングコング。エコノミックアニマルという言葉が流行するのはこの数年後だが、既に日本社会にはこういう猛烈社員がいたんだなあ。米国(=キングコング)に依存する日本人の姿勢を風刺したとする批評も目にしたが、そういう解釈も当て嵌まる程度には狂的。コメディ調が強すぎて面白くないと先述したが、ここまで来るとある種の魅力に感じる。はっきり言って主役の2匹を食う勢いだ。

ゴジラ足止め作戦を立案するのが芹沢博士でお馴染み平田昭彦。金網を引いて落とし穴式にゴジラを落とす。これはガメラ一作目並みのギャグ作戦で、まんまと引っかかって落ちるゴジラもなんだか可愛い。

丸ノ内線を掴み国会議事堂に登るのは本家のリスペクトを感じるが、コングの造型がイマイチ。RKOから本家と顔立ちを変えて欲しいという要望があったのと、独自に魅力的なキングコング像を作ろうと努めた結果らしいが、いかんせんゴリラ系というよりは猿か何かにしか見えない。でも段々見慣れてくると妙に愛着が湧く不思議。浜美枝の叫び声が本家キングコングのフェイ・レイに劣らず凄まじい。そして美人。これを契機にボンドガールに選ばれたという話を聞いたが、むべなるかな。

ふみ子(浜美枝)の婚約者、藤田の発明である特殊繊維はどう考えても一技術者の作るレベルにしては凄過ぎる。ふと思ったのだが、あれはどう見てもスパイダーマンが使用するスパイダーウェブに限りなく近い。調べたら本作も、スパイダーマンが初出の “Amazing Fantasy ♯15”も共に1962年だが、製作時期、公開共に本作の方が先だ。まさかスタン・リー&スティーブ・ディッコが影響されたとも考えにくい(米国での公開は1963年)ので、おそらく偶然の一致か、或いはスパイ物などでよくあるギミックだったのか?

コングとゴジラの二大巨頭が戦うのが本作の肝だが、2頭を交互に追ってるせいか途中散漫な印象が拭えない。特にコングのヘリ輸送作戦をやってる間、そう言えばゴジラどうしてたっけと忘れかけたほど。何故か富士登山に挑戦しているゴジラ。本作のゴジラはどうも不可解な行動が多い。

崖から滑り降りて擦りむいた尻をさすり、ゴジラの白熱光を浴びた後、焼けた箇所を慌てて手で払いのけるコング可愛い。
ゴジラもゴジラで胸の前で両手をパチパチ叩いてコングを挑発する。それはあれか、タンバリン叩く猿の真似か?性格悪いぞゴジラ。

富士〜熱海間を殴りあいながら名シーンと言われる熱海城を挟んでの攻防戦を繰り広げる2匹。そう言えば本作からゴジラは投石をしている。白熱光より多いくらいだ。相手がコングなので、空気読んで合わせた戦い方をしているのか?

個人的にちょっとショックだったのがジャケットにもなっている、コングがゴジラの尻尾を掴んで中天高く振り回すシーンがなかったことだ。これを楽しみにしてたのに。私の見落としだろうか。背負い投げにしては向きがおかしい気もするのだが。